刀剣乱舞住み分け問題ゲバゲバ

被害者になってぶん殴りたかった人たちと、そこに巻きこまれた人たちの記録。2016年9月、ツイッターを中心に起きたとうらぶ住み分け問題関連垢内ゲバ騒動について

pixiv論文炎上参考記事

立命館大学は「現在、事実関係を確認中」。大学としてコメントなどを発表する予定はあるか? という質問には「それも含め、対応は事実関係把握後に検討する」とした。


論文PDFの削除については、学会や論文著者から大学側に事前に連絡はなかったという。


ユーザーからは「ピクシブは大学や学会に抗議すべき」という声も上がっている。


同社にも本件を受けてのコメント、今後の対応などを問い合わせているが、25日午後1時時点で回答は得られていない。


【追記あり】「モラルを疑う」pixiv上のR-18小説を“晒し上げ” 立命館大学の論文が炎上 今後の対応は

この一件を俯瞰してみれば、オタクコミュニティ(SNS)と人工知能の研究者(理工系)という、まったく異なるコミュニティ(領域)の衝突と言える。<略>
よって、この衝突自体はけっして瑣末なものとは言えない。<略>


とは言え、それらの投稿小説は、ユーザー登録をして設定変更をすれば、「誰にでも見られる」状態であったことは間違いがない。
この「SNSで誰でも見られる状態」を、「公表(公開)ではない」とするのは、解釈として無理があると捉えられる。
以上を踏まえれば、著作権法的にはこの一件はなにも問題がないと考えられる。<略>


実際、pixivで作品を発表していたひとたちは、それが多くのひとの目に触れることを望んでいなかったのはたしかだ。
たとえそれが実質的に「公表状態」であっても、pixivを使うことで閲覧コントロールをしていたと捉えられる。この場合の閲覧コントロールとは、もちろん技術的な制限ではなく、「同じ趣味を持つひとたちが多い場で発表する」という意味でのコントロールだ。<略>

ひとつだけ気になるのが、「転載・引用されている」という表現だ。論文にはたしかに「引用」はされているが、「転載」はされていない。そして引用に法的な問題はないことも先に見てきたとおりだ。
つまりこの一文は、pixiv側が「引用」と「転載」についての明確な違いを理解していないことを意味している。
それは、非常に不用意な表明だと断じざるを得ない。<略>


「炎上」の幕引きとして立命館大学の研究者や人工知能学会が、さしたる議論もなく全面謝罪して終わることだ。
それは将来の研究においてひとつの“前例”となり、大きな禍根を残すことに繋がりかねない。


なぜなら、現在SNSの研究はさまざまな分野で数多く行われているが、今回の決着の仕方しだいでは、pixivをはじめとするSNSの研究のハードルが非常に高いものとなる可能性があるからだ。それは研究の自由の可能性を大きく狭めることに繋がる。
同時に、もうひとつ指摘しておかなければならないことがある。それはpixivおよびユーザー側の表現に対する姿勢である。


今回研究対象となった投稿作品は、その多くが「二次創作」と呼ばれるものだった。
これは既存のマンガやアニメなどの設定を用い、ファンが二次的な創作をした作品のことだ。
それらのほとんどは、原作者の許諾を得ずに勝手に創っているものばかりだ。


二次創作は、オタク文化の根幹をなす表現活動だが、著作権法的にはグレーの状況にある。
それでもここまで広がったのは、マンガ家や出版社などが、文化発展に寄与するとして黙認してきたからだ。<略>

pixivユーザーに一度冷静になってもらいたいのは、目の前にある権利を主張することが、最終的にみずからの権利や立場を大きく損ねることに転じるリスクである。
社会や他者のことを包含しない主張は、ただのわがままとしてブーメランとなる可能性があるのだ。
一回上げた手を下ろすことには勇気がいるかもしれないが、いま一度冷静になって考えて欲しいと思う。<略>


ただ、一方でその研究者たちがpixivユーザーの作者名も明記したことには、それなりの理由があったのかな、とも推察する。


その背景にあるのは、おそらくSTAP細胞問題だ。
データ改竄が強く疑われるあの研究は、その後、研究者を非常に神経質にさせたのは間違いない。よって好意的に考えれば、立命館大学の研究者3人はより真摯にデータの出典に向き合ったために、作者名まで明記したのかもしれない(ならば、なぜ作品名は出さなかったのか、という疑問も生じるが)。


なお、この記事において立命館大学の研究者3人の名前を明記していないのも、『Yahoo!ニュース』の影響力を考えたうえでの「配慮」である。<略>


今回の一件は、決着の内容しだいでは、今後さまざまな学問領域や二次創作界隈に大きな影響を与える“前例”となる可能性がある。


立命館大学および人工知能学会とpixivを運営するピクシブ社には、インターネット上の「炎上」状況に振り回されるのではなく、冷静な対話と議論を期待する。


立命館大学の研究者による「pixiv論文」の論点とは──“晒し上げ”批判はどれほど妥当なのか(松谷創一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース